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無料の科研用AI作図ツール比較:無料枠で何ができるか

無料の科研用AI作図ツール比較:無料枠で何ができるか

ここで紹介する無料プランはすべて「お試し用の残高」です。それぞれを実際に描ける枚数へ換算し、ライセンスが本当は何を許可しているかを確認しました。

FigwiseFigwiseチーム

無料AI作図ツールのランキング記事は、たいてい仕上がりの美しさだけで順位を決めています。それは間違った物差しです。どれほど見栄えが良くても、投稿に使えない図には価値がありません。

そこで私たちは2026年8月26日に各社の定価ページを開き、見た目ではなく2つの数字だけを探しました。無料枠で実際に何枚描けるか、そしてそのライセンスが公開・発表を許しているかどうかです。画質の良し悪しは評価していません。プランを読み、その場でスクリーンショットを撮っただけで、以下の数字はすべて各社自身のページに書かれているものです。

先に結論を書きます。

  • ここでいう「無料」はお試し用の残高であって、無料プランではありません。 ほとんどのツールは1〜2枚分を渡した時点で課金を求めてきます。
  • 今回調べたサードパーティ製ツールのうち、無料枠で学術誌への発表権を認めているものは1つもありません。 大半は定価ページで明文で拒否しており、残りは単に何も言っていません。
  • 無制限で本当に無料なルートは、そもそもAIではありません。 アイコンはBioiconsかNIH BioArt、組み立てはInkscape——枠もウォーターマークもライセンスの疑問もありません。

無料枠を「描ける枚数」に換算する

ここに挙げたツールのほぼすべてがクレジット制です。登録時に少量のクレジットを受け取り、1枚描くたびにその一部を消費し、あとはゆっくり回復するか、まったく回復しないかのどちらかです。したがって正直に比較するには、割り算を1つやるしかありません。付与されたクレジット数を、1枚あたりの消費クレジット数で割るのです。

この計算をわざわざやってくれる会社はほとんどありません。やっている場合、結果はたいてい寂しいものです。SciFigはカードにそのまま印刷しています。登録時に50クレジット、「≈1 figure」(約1枚)と。

SciFig's pricing page, showing the Free Plan with 50 credits at signup marked as roughly one figure, a note reading Evaluation only, and crosses next to vector export, editable PPTX and full publication and commercial rights

SciFigの無料プランはクレジットと出図枚数の換算をそのまま明記しており、発表権が含まれないことも明示しています。出典:scifig.ai、2026年8月26日にキャプチャ。

SciFig —— 最初に約1枚、以降は1日1枚

SciFigは登録時に50クレジットを付与し、それを「≈1 figure」と表記しています。その後は毎日50クレジットずつ補充され、「≈1 figure/day」(1日あたり約1枚)と表記されています。

無料プランのエクスポートは1K画質のみです。バツ印がついている項目が3つあります。ベクター書き出し(SVG)、編集可能なPPTX、そして完全な発表・商用利用の権利です。価格表の下には、今回調べた中で最もはっきりとした一文が置かれています。

"Evaluation only — publishing requires a paid plan or credit pack." (評価用途のみ——発表するには有料プランかクレジットパックが必要です。)

FigWise —— 2枚、そしてライセンス面では唯一の例外

FigWise(本サイト)は新規アカウントに85クレジットを付与します。1枚あたり1Kまたは2Kで30クレジット、4Kで60クレジットを消費します。つまり2枚分で、出力形式はPNGです。

枠の大きさで見れば、他社と大差ありません。登録時の残高はせいぜい2枚分です。しかしライセンス面では、今回調べた中での例外にあたります。利用規約は無料クレジットと有料クレジットを区別していません。

"Subject to these terms, you may use the figures you generate for academic and commercial purposes, including journal submission." (本規約に従う限り、生成した図は学術・商業目的で利用でき、学術誌への投稿も含まれます。)

ただし、これは見た目ほど大きな意味を持ちません。同じ規約に理由が書かれています。「多くの学術誌はAI利用の開示を求めています。投稿先の学術誌のポリシーを遵守する責任は利用者にあります」。どれほど寛容なライセンスも、AI生成画像を拒否する出版社の前では無力であり、そうした出版社は実際に複数存在します。

AcaDraw —— 月に2枚

AcaDrawは登録時に無料AIクレジット10個を付与し、毎月リセットされます。科研図の生成には1回あたり5クレジットかかります。つまり月に2枚、それが毎月ずっと続きます。

無料エクスポートはPNGのみ、画質は標準です。プランには「For personal educational use」(個人の教育用途向け)というラベルが付いています。ウォーターマークなしの書き出しと「Publish in journals/commercial use license」(学術誌への発表/商用利用ライセンス)は、有料プランの機能として挙げられており、無料プランには含まれていません。

AcaDraw's pricing page with the Free column showing 10 free AI credits on registration resetting monthly, and AI science drawing generation costing 5 credits per use

月10クレジット、1枚5クレジットなので、月2枚です。出典:acadraw.com、2026年8月26日にキャプチャ。

ConceptViz —— ウォーターマーク付き、しかも生成モデルが弱い

ConceptVizは登録時のクレジット付与数を公表していないため、枚数への換算はできません。ただし公表している別の情報のほうが役に立ちます。

このツールは、無料枠で変わるのが枚数の上限だけでなく生成モデルそのものだと認めている、今回唯一の存在です。定価ページには2つの生成ルートが名指しされており、無料生成は軽量な方のルート「CV-2 Light」を使います。

"Free generations use a lighter route for trying prompts and early drafts. Fine labels and small details may be less consistent." (無料生成はプロンプトの試行や初期ドラフト向けの軽量ルートを使用します。細かいラベルや小さなディテールは安定しにくい場合があります。)

科研図においてラベルこそ絶対に間違えてはいけない部分です。細かいラベルが不安定になりやすいルートは、要するに下書き用のルートであり、ページ自身がそう認めています。

同じページが、ライセンスの結論も1文で片付けています。

"Images made with free registration credits include a brand watermark. Buy any credit pack or membership for watermark-free output and commercial use." (無料の登録クレジットで作成した画像にはブランドのウォーターマークが入ります。ウォーターマークなしの出力と商用利用には、クレジットパックまたは会員プランの購入が必要です。)

ConceptViz pricing page showing a notice that images made with free registration credits include a brand watermark, above a section headed Free for drafts, full quality when it matters

ウォーターマークとモデルの品質、どちらも定価ページに明記されています。出典:conceptviz.app、2026年8月26日にキャプチャ。

SciDraw AI —— 1日およそ1枚、発表権はなし

SciDraw AIは登録時に10クレジット、以降は毎日5クレジットずつ付与します。有料プランでは300クレジットを約60枚分と価格設定しているため、1枚あたりおよそ5クレジットです。1日5クレジットということは、1日およそ1枚に相当します。

無料列には、対応するチェックマークではなく⊗が付いている項目が2つあります。SVGへのベクター変換と、「Journal publication / Commercial use」(学術誌への発表/商用利用)です。

SciDraw AI pricing table, Free column, showing ticks for signup and daily credits but crossed-out icons for SVG vector conversion and journal publication or commercial use

無料列の最後の2項目にはチェックではなくバツが付いています。出典:sci-draw.com、2026年8月26日にキャプチャ。

同じページのFAQにも、言葉で同じ内容が書かれています。

"You own the images you generate. Journal publication and commercial use require a paid plan — on the free plan, images are for personal and evaluation use." (生成した画像の所有権は利用者にあります。ただし学術誌への発表と商用利用には有料プランが必要です——無料プランの画像は個人利用および評価目的に限られます。)

FigPad —— どのFigPadのページを読むかで数字が変わる

FigPadは、公式ページ同士の記述が食い違っている今回唯一のツールです。定価ページには無料プランがそもそも掲載されておらず、定価FAQでの「Can I try FigPad for free?」(FigPadは無料で試せますか?)という問いへの答えは「Every new account gets free credits with no credit card required」(新規アカウントはすべて、クレジットカード不要で無料クレジットを受け取れます)で、具体的な数字はありません。

一方で自社ブログには、同じ数字が3回繰り返されています。「200 free credits at signup, no card required.」(登録時に無料クレジット200、カード不要。)

FigPadの有料プランから逆算した消費レートに当てはめると、この数字は太っ腹に見えます。9ドルのStarterプランは130クレジットで「up to 65 figure generations」(最大65回の出図)となっており、1回あたりおよそ2クレジット計算です。ところが同じブログ記事は、200クレジットについてもっと控えめに、「enough to draft, vectorize, and export your next figure」(次の図を1枚、下書きしてベクター化して書き出すのに足りる量)と表現しています。この2つは矛盾する主張であり、それを決着させるはずのページは何も語っていません。SVG書き出しは15ドルのPlusプランから使えます。

PaperBanana —— 自分が見ているのがどのPaperBananaか確認する

paperbanana.meの定価ページには、有料プランが3つ並んでおり、無料オプションはありません。ウォーターマークなしのダウンロードと商用ライセンスは、有料プランに含まれるものとして挙げられています。ページには「priority generation with no free-user wait」(無料ユーザーの順番待ちがない優先生成)という記述があり、どこかに無料利用があることを示唆していますが、そのプラン自体の説明はありません。

誰かのリンクをたどる前に、名前をよく確認してください。ほぼ同名のサイトが複数稼働しており、プランも価格もそれぞれ異なります。paper-banana.org、paper-bananas.com、paper-banana.aiなどです。このうち1つは実際に20クレジットの無料プランを提供しています。「PaperBanana」について読んだ内容は、あくまで1つのドメインにしか当てはまりません。約束されていたはずの価格と、アドレスバーの表示を必ず突き合わせてください。

BioRender —— 3枚、そして発表は明文で禁止

BioRenderのAcademic Freeプランは最大3枚まで作成でき、「No commercial use or publication」(商用利用・発表不可)と明記されています。同じページのFAQはさらに直接的です。「we do not allow figures made on the free plan to be used for publications or commercial use.」(無料プランで作成した図を発表や商用利用に用いることは認めていません。)

このプランのライセンス条件と引用ルールについては、BioRenderの代替ツール比較記事(2026年8月23日確認)で扱っています。

無料の出力が使えるかどうかを決める4つの関門

みんなが最初に気にするのは枠の大きさです。しかし、そのファイルが実際に使えるかどうかを決めるのは、次の4つです。

  1. ライセンス。 「評価用途のみ」や「個人利用」という表記は、その図を論文に使えないことを意味します。これは議論の余地なく結論を決めてしまう関門であり、多くのランキング記事が素通りしている部分でもあります。
  2. ウォーターマーク。 画像に入ったブランドマークは、投稿にとって決定的な障害です。複数のツールでは、これが無料出力の標準仕様になっています。
  3. ラスターのみ。 無料プランで渡されるのはPNGです。ベクター書き出しはSciFig、SciDraw AI、FigPadのいずれでも有料の壁の向こうにあります。ベクター出力がなければ、数か月後にラベルの誤字を1つ直したいだけでも図全体を作り直すしかありません。
  4. 学術誌自身のルール。 Springer NatureとScienceはどちらも、編集者の個別許可がある場合を除きAI生成画像を拒否しており、Elsevierは汎用AI画像ツールをグラフィカルアブストラクトに使うことを名指しで禁じています。私たちは主要6出版社が実際に何を許可しているかを条項ごとに整理しました。この関門だけは、どんなライセンスを買っても越えられません。

比較表

BioRender(2026年8月23日)を除き、すべての数値は2026年8月26日に各社自身の定価ページで確認したものです。

ツール 無料付与量 換算枚数 無料エクスポート 無料枠での発表可否
SciFig 50クレジット+毎日50 ≈1枚、以降1日約1枚 1Kラスター 不可——「評価用途のみ」
FigWise 85クレジット 2枚 PNG 可(規約上)——ただし学術誌側のルールは別途適用
AcaDraw 月10クレジット 月2枚 PNG 不可——個人/教育用途のみ
ConceptViz 登録時付与、数量非公表 未記載 ウォーターマーク付き 不可
SciDraw AI 10クレジット+毎日5 1日約1枚 SVGなし 不可
FigPad ブログでは200、定価表には記載なし 未確定 15ドル未満のプランはSVGなし 未記載
PaperBanana paperbanana.meには記載なし
BioRender 合計3枚 3枚 不可

こうした表について1つ警告しておきます。定価表をプレーンテキストにコピーすると、チェックとバツのアイコンが消え、除外されている機能があたかも含まれているかのように読めてしまいます。SciDraw AIの無料列が「SVGと発表権を含む」と誤って伝わっているのは、まさにこのせいです。実際には含まれていません。どんな要約を信じる前にも——本記事も含めて——必ずレンダリングされた元ページを確認してください。

選び方の目安

  • アイデアをスケッチしたいだけ、あるいはラボミーティング用のスライドを作りたいだけ? どの無料プランでも十分です。ウォーターマークとPNGは受け入れましょう。
  • その図を論文に使う予定がある? ほぼどのAIの無料枠も対応していません。ライセンスにお金を払うか、アイコンライブラリから自分で組み立てるかのどちらかです。
  • 後からラベルを編集したくなりそう? それにはベクター出力が必要で、つまり有料プランかInkscapeが要ります。
  • Nature、Science、あるいはElsevierのグラフィカルアブストラクトに投稿する予定? ツールを選ぶ前に出版社側のAIルールを確認してください。ライセンスだけが関門ではありません。

本当に無料な選択肢はAIではない

無料が絶対条件で、なおかつその図を発表に使わなければならないなら、AIツールを探すのはやめましょう。費用ゼロで、発表を許すライセンスを備えたリソースが3つあります。

  • Bioicons —— CC0、CC BY-SA、MITのいずれかで公開されている数千個の生物学アイコン。
  • NIH BioArt —— 米国政府機関が提供する、2,000点を超える科学・医療系ビジュアル。無料でダウンロードできます。
  • Inkscape —— オープンソースのベクター編集ツール。本物のSVG出力、アカウント登録不要、枠もありません。

図を「説明する」のではなく「自分で組み立てる」ことになるので、1分ではなく午後まるごとかかります。しかしその代わりに手に入るのは、ベクターファイル、ウォーターマークなし、ライセンスの疑問もAI開示の悩みもない状態です。この方法の詳しい進め方は、BioRenderの代替ツール比較記事で解説しています。

無料枠を使わない場合にかかる費用

手作業で組み立てるより、いっそ一度お金を払いたいという場合、2026年8月26日時点で確認できた最安ルートはサブスクリプションではありません。ConceptVizは買い切りのStarterパックを販売しており、5ドルで10クレジット、およそ10枚分に相当し、購入するとウォーターマークなし出力と商用利用が解放されます。ただし1アカウントにつき1回限りの購入制限があります。

それより上では、確認できた最安のサブスクリプション(いずれも年払い)は、AcaDrawが月あたり約8.33ドル、FigPadが9ドル、PaperBananaが9.50ドル、SciDraw AIが10ドル、SciFigが14ドルでした。価格だけで並べる前に、月あたりどれだけの量が得られるかも比べてください。これらのプランは月130クレジットから2,500クレジットまで幅があります。

よくある質問

完全に無料の科研用AI作図ツールはありますか?

今回調べたサードパーティ製ツールの中にはありません。無料かつ発表可能という条件を満たす選択肢は存在しますが、それはAIではなくアイコンライブラリとベクター編集ツールの組み合わせです。

AIで作った図であることは開示しなければいけませんか?

多くの場合、必要です。しかもこの要件は、どんなライセンスを購入しても消えません。Springer Natureは、序論・序文・謝辞のいずれかでAI利用を明記するよう求めています。投稿先の学術誌がどこでの開示を求めているかは、投稿後ではなく投稿前に確認してください。

無料プランが実際に何を含んでいるか、どうやって見抜けばいいですか?

まず有料の列を読んでください。ウォーターマークなし出力、SVG、商用利用権など、各社が「課金すれば解放される」と宣伝している項目こそ、無料プランでは省かれているものです。これは無料列を読むより速く判断でき、しかも表現をあいまいにしにくい方法です。

ChatGPTやGeminiで科研図は作れますか?

画像は生成できますが、それらは汎用の画像生成モデルであり、複数の出版社が制限条項の中で名指ししている対象そのものです。また、画像内の文字を勝手に作り出してしまう傾向もあります。こうしたプロンプトで何ができて何ができないかは、別の記事で扱っています。

学生向け・学術向けの無料プランは違うのでしょうか?

場合によります。BioRenderとSciDraw AIはどちらも教育割引を用意しており、大学によっては発表制限を解除するサイトライセンスを持っていることもあります。自腹を切る前に、まず所属機関の図書館に確認してください。機関ライセンスは、「無料」と「発表可能」が安定して両立する唯一のルートです。